僕たちのレース活動の中にジュニアチームが存在する。
一言でジュニアチームと言うと「育成」という意味を思い浮かべるだろう。
事実その通りだ。ただ定義は同じでも世界的に見ると「育成」と言われる規模は非常に格差が大きい。
例えばMotoGPに参戦するチームのジュニアチームは各国の選手権にチームを送り込んでいる。日本国内で言えば全日本ロードレース選手権にジュニアチームが存在している。全日本と言えばうちがメインの本隊が活動しているレースだ。あくまで「ジュニア」と言ってもGPを主体にしているところは規模が圧倒的に違う。
僕たちのジュニアチームとしては家族チームがメインだ。
いや、その前に今ポケバイや74Daijiro、そしてミニバイクを戦っている小学生ライダーが皆GPを目指しているという事実は無い。ただ漠然とレースに励み年齢と共にステップアップしていくのが大半だと思う。
GPを目指す環境は近年少なからず開けた。鈴鹿のSRSや各トップチームも若手育成に力を注いでいるところもあるが、ミニバイク以下のレースに関しては今や数えるくらいしかチームが無い。指導者がいないと言った方が正しいのか??
アジアのタレントカップ然り、ルートはあるもののどうしたらいいかわからないライダーばかりだと思う。そしてそれは今や政治が強すぎる。
僕たちの「育成」と掲げるものは大義だが、あくまで彼らを進むべきもしくは現状を知るものとしてアドバイスを出す事の意味合いが強い。マシンはお父さんがメンテナンスをする。出来ない事はチームが請け負う。ステップアップに今や王道のカテゴリーが不透明な中でレースを選択する。そもそも毎週彼らの練習に付き合う事も現実的には不可能なんだ・・・。
あくまで家族チームとしての延長で僕らのチームが母体となっているだけであって看板も何も背負わせていない。そして彼らがGPを目指すのか、国内もしくはアジアのレースに今後参戦するであろう道に進むのかは正直ハッキリしている。
そもそも俺は国内のレースを目指したっていいじゃない。と思う派だ。
ロードに上がり良い話が来たら移籍したって構わない。ライダーはそういうモノだ。
少しでもロードレース界の若手を増やし、道を切り開くサポートをしながら貢献できるならそれに尽きる。
資金的に余裕があり国内からアジアすら飛ばしヨーロッパに挑戦する若手ライダーもいるがこれから更に増えるだろう。
もちろん彼らが成長し将来的にうちの本隊でレースをしてもらえるならそれは特別な物になる。どういう形でレースをするかというのはものすごく難しい話になっている昨今の状況で、そこに対しては大きな責任を僕は担っている。いや担いたいからやっていると思う。
うちのチームだってどういう状況になるかなんてこのコロナの中では先なんてわからないし、仮に参戦中止としても必ず参戦するチャンスはくるはずだ。その時にどういうスタンスで何のためにどういうポジションでっていう自問自答に立ち向かう事になると思うが。
たしかに[育成]というのは本来ものすごくお金がかかる。これはメーカーとしての仕事なのかもしれないがそうも言ってられない。何をもって育成なのかは各チーム違うだろうし。
僕らの活動が正しいのか失敗なのか。
それは数年先に答えが見つかるはず。
レースばかりやっていられれば良いのかもしれないがそれは難しい。
何より子供達とレース活動が出来ているうちは幸せだろうし、何より楽しいんだ。
つまりそういう事。そしてそれは大きな責任でもあるから。